2001年に読んだ本
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2001年のまとめ
今年1年間で読んだ本は、計66冊。
平均すると1週間に1冊は読むことができたのは、何よりだった。
まだまだ”積んだまま”の本が残っているので、来年もこのペースで読んでいきたいものだ。
コンピュータ系、トンデモ系の多いのは毎度のことだが、ドキュメント系が増えてきた。
これも齢のせいかも知れない(^^;。

66JUMP前略、人間様。 長渕剛詩画集長渕剛★★☆☆☆
65JUMP最新コンピューターウィルス製造マニュアルウィルスを作る会★★☆☆☆
64JUMP狂牛病−人類への警鐘−中村靖彦★★☆☆☆
63JUMP鳥頭紀行 くりくり編西原理恵子 他★★★☆☆
62JUMPスプラッターカーニバル新映画宝庫vol.3★★★☆☆
61JUMP消されかけたファイル麻生幾★★☆☆☆
60JUMPニセモノ師たち中島誠之助★★★★
59JUMPフォーカス スクープの裏側フォーカス編集部★★★☆☆
58JUMP戦争論争戦小林よしのり・田原総一朗★★☆☆☆
57JUMP呪禁官牧野修★★★★★
56JUMP戦争論2小林よしのり★★★★
55JUMP放送禁止歌森達也★★★★★
54JUMP三日で解決せよ 有珠山噴火現地対策本部長奮闘記増田敏男★★☆☆☆
53JUMP鳥頭対談西原理恵子・群ようこ★★☆☆☆
52JUMP都市の穴木原浩勝・他★★★☆☆
51JUMPトンデモ本の世界Rと学会★★★★
50JUMPハリー・ポッターと賢者の石J.K.ローリング★★★★
49JUMPオトコとオンナの深い穴太田垣晴子★★★☆☆
48JUMP新・トンデモ超常現象56の真相皆神龍太郎、他★★★★
47JUMPはじめての3分ハッキングKAZ★★★★
46JUMP犬がしゃべった!モーリス・ロウドン★★★★
45JUMPあなたの待つ場所幸森軍也★★★★
44JUMPネットアイドル村松孝英☆☆☆☆
43JUMP唐沢なをきのうらごし劇場唐沢なをき★★★☆☆
42JUMP新ゴーマニズム宣言 10小林よしのり★★★☆☆
41JUMPインターネットの秘密HIROMI★★★★
40JUMPネットフォース・エクスプローラーズ 仮想破壊者トム・クランシー★★★☆☆
39JUMPネットフォース・エクスプローラーズ 陰謀のゲームトム・クランシー★★★★
38JUMP墜落現場 残された人たち飯塚訓★★★★
37JUMPスプーン 超能力者の日常と憂鬱森達也★★★★★
36JUMP新耳袋 第六夜木原浩勝・中山市朗★★☆☆☆
35JUMP空前絶後のオタク座談会@ ヨイコ岡田斗司夫・山本弘★★☆☆☆
34JUMP新・魔獣狩り 7 鬼門編夢枕獏★★☆☆☆
33JUMPそれがぼくには楽しかったからリーナス・トーバルズ★★★☆☆
32JUMPほぼ日刊イトイ新聞の本糸井重里★★★☆☆
31JUMPトラッシュバスケット・シアター岩井俊二★★★☆☆
30JUMPインターネット熱闘言橋本和明・芝雅之★★☆☆☆
29JUMPうそをつく女ソフィー・マルソー☆☆☆☆
28JUMPわたしたちはなぜ科学にだまされるのかロバート・L・パーク★★★★
27JUMPパワー・オフ井上夢人★★★☆☆
26JUMPブギーポップは笑わない上遠野浩平★★☆☆☆
25JUMPわたくし的読書太田垣晴子★★☆☆☆
24JUMPと学会年鑑2001と学会★★★☆☆
23JUMP鉄甲機ミカヅキ(下)飯野文彦★★☆☆☆
22JUMPiモード事件松永真理★★☆☆☆
21JUMPBRAIN VALLETY(上)(下)瀬名秀明★★★☆☆
20JUMPすべてがEになる森博嗣★★★☆☆
19JUMP異形コレクション15 宇宙生物ゾーン井上雅彦・監修★★☆☆☆
18JUMPセブンズフェイス原案・秋本康 著・加藤学生★★☆☆☆
17JUMPポケモン・ヒストリー畠山けんじ・久保雅一★★★☆☆
16JUMP異形コレクション17 ロボットの夜井上雅彦・監修★★☆☆☆
15JUMP芸能界裏事件簿覆面芸能記者会編★★☆☆☆
14JUMPあやしい探検隊焚火発見伝椎名誠・林政明★★☆☆☆
13JUMPマザー・ハッカー 1999年のゲーム・キッズU渡辺浩弐★★★☆☆
12JUMP新耳袋 第五夜木原浩勝・中山市朗★★☆☆☆
11JUMP新耳袋 第四夜木原浩勝・中山市朗★★☆☆☆
10JUMP新耳袋 第三夜木原浩勝・中山市朗★★☆☆☆
09JUMP新耳袋 第二夜木原浩勝・中山市朗★★☆☆☆
08JUMP!あの頃ぼくらはアホでした東野圭吾★★★★
07JUMP!新耳袋 第一夜木原浩勝・中山市朗★★★☆☆
06JUMP!柳美里★★☆☆☆
05JUMP!推定有罪 あいつは…クロ磯貝陽悟★★★★★
04JUMP! 鉄甲機ミカヅキ(上) 飯野文彦 原作・雨宮慶太 ★★☆☆☆
03JUMP! エドガー@サイプラス アストロ・テラー ★★★☆☆
02JUMP! 電脳農奴解放ジャーナルvol.2 電脳農奴解放戦線☆☆☆☆
01JUMP! 「Hack!!ハッカーと呼ばれた青年たち」 笠原利香 ★★★☆☆






12/16 「前略、人間様。 長渕剛詩画集」
         長渕剛 新潮文庫 ¥667 ★★☆☆☆  TOP
詩画、というか絵手紙の隆盛は、多分に相田みつをのお手柄と言っていいだろう。近年大流行である。ただ単に詩を書くだけではなく、それに見合った文字を選び絵を添えることで、ひとつの小宇宙を完成させるというこの技法、思えばWeb上での表現にもっともふさわしいのかも知れない。ただし、ほんの短い言葉にそれぞれ勝手な思い入れを込めてことさらに意味深長に扱うのはどうか、と思うのだが。芸能人でこの手法を取り入れて表現活動をしていると言えば、片岡鶴太郎が真っ先に思い出される。俺も彼の画集は一冊手元に置いているが、文章よりも画力に惹かれるものがある。長渕剛の場合は、やはりシンガーソングライター、詞(ことば)の力強さが印象強く感じられるところであるが、覚醒剤で捕まった人物が「太陽に背を向けたりしない」なんて言ってもなあ…。

12/10 「最新コンピューターウィルス製造マニュアル」
         ウィルスを作る会 データハウス ¥1600 ★★☆☆☆  TOP
旧版も所有しているのだが、”最新”という名前に惹かれて買った一冊。コンピューターウィルスはあまり興味のないジャンルなので読んでいなかったのだが、先月来のウィルスメール騒動で思いだして読んでみたまで。ジェネレーターの存在自体も知ってはいたが、さすがに自分で製造・頒布してみたいとは思わない。ただ、どのような過程で制作し頒布するかにはとても興味がある。アンチウィルスソフトで検知されたものの、どこから侵入してきたか、そのルートが分からないものがあったのだ。OutlookExpressは使っていないし、OS以外にMicrosoft製ソフトはインストールしていない状態だったので。ありえるとすれば、雑誌の付録やサイトからダウンロードしてきたフリーソフトぐらいしか思い浮かばないのだが…。本作を読んでみると、確かにウィルス制作のためにプログラムを組むという時代は終焉を迎えた感がある。これからはアリモノのサフトで粗製濫造の時代なのか。

12/09 「狂牛病−人類への警鐘−
         中村靖彦 岩波新書 ¥700 ★★☆☆☆  TOP
久々の岩波新書である。読むのに凄く時間がかかってしまった。なにせ専門用語や具体的な統計の数字などがたくさん出てくるので。数年前に寄生虫に関する本にハマっていた時、病原体プリオンの本は買ったはずだが、忙しさにかまけて読めずにいる。狂牛病の原因がそこにあると知ったのはつい最近のこと。今までいろいろなところで紹介されたり報道されていたのだろうが、全然気にもとめていなかった。狂牛病という言葉については、浦沢直樹の漫画「マスター・キートン」の中でちよっと変わった形で紹介されているのだが、その頃はこんな大騒動にはなっていなかつたし、ましてや人間に感染するなどとは思ってもみなかったはずである。実はゾンビものの創作雑文の中で使いたいイメージがあっていろいろと準備はしていたのだが、それ書くと狂牛病にヒントを得たと思われそうで悔しい(^^;

12/08 「鳥頭紀行 くりくり編」
         西原理恵子 他 書角川書店 ¥1100 ★★★☆☆  TOP
「鳥頭紀行」シリーズも3冊目となった。今回は、ミャンマーの寺院での出家修行から始まる。海外への旅行のルポを中心に珍紀行の様子が面白可笑しくつづられ、いつもながらに楽しむことができた。他にヨーロッパ・ロマンチック街道への度なども紹介されているが、後半になると国内(ただし九州)でのタコ釣りとか、規模が縮小されていくのが、悲しくも可笑しい。こうやって見ていくと、紀行文はいくつも読んではいるが、珍道中ほど面白いものである。ちなみに、今まで読んだ中で一番臣白かった紀行文といえば、作家の江國滋の書いた「わん・つう・すりー」という本。世界のマジック大会を見にいくという内容で、出会ったマジシャンや人々との交流が面白く、何度も読み返したものだ。奇術をする上で文献なども読んだりすることも多く、英語を学ぶ必要性をあらためて考えさせられた、という思い出もあったりする。

12/01 「スプラッターカーニバル」
         新映画宝庫vol.3 大洋図書 ¥1333 ★★★☆☆  TOP
好き嫌いの”激しく”分かれそうなこのジャンルである(笑)。小学生の頃に見た「エクソシスト」がこのジャンルの映画との出会いであるから、つきあいも長くなろうというもの。染まったな、俺…(苦笑)。似たようなコンセプトのムックも多数出ているが、今回はスプラッター・ホラーという、廃れがちなジャンルにスポットを当てていることに喝采をおくりたい。まだまだCGやSFに負けてはいない!という気概を感じさせてくれたのだから。「マッドドクター」「殺人鬼」のように類別して紹介しているのだが、自分としてはやはり、「ゾンビ」「カニバリズム」あたりが懐かしく思い起こさせられる。「ハンニバル」が入っていない所も気に入った。(笑)

11/23 「消されかけたファイル」
         麻生幾 新潮社 ¥1500 ★★☆☆☆ TOP
副題が「昭和・平成裏面史の光芒」。歴史的な事件に”秘められた数冊のファイメが存在した”として展開される、実録モノ。ただし、どこまでが事実でどこからが推理、フィクションなのかが判然としない、奇妙な作品。扱われている事件に「」「函館ハイジャック事件」「中川一郎怪死」があり、どちらも北海道に関わりがあり、リアルタイムで接していた事件だったので興味があって読むことにした。どうにも、”実録モノ”と称するアヤシゲなフィクションと似通った匂いがして、肌にはなじみづらい、というのが正直なところ。

11/18 「ニセモノ師たち」
         中島誠之助 講談社 ¥1600 ★★★★☆ TOP
TV番組「開運!なんでも鑑定団」で鑑定士をしている「いい仕事してますねェ」で有名な”骨董屋のオヤジ”の書いた本。どうにもこの「ニセモノ」とか「贋作」という言葉に目がなく、ついつい買ってしまったのであるが、読んでみるとこれがなかなか。「フェイク(贋作)」に何となく惹かれるようになったのは、学生時代に買った「魔のバイオリン」という本を読んでからである。これは、バイオリンにまつわるいわく因縁話から、当代の名匠が作ったバイオリンやその贋作を紹介した物であった。その後奇術趣味も手伝ってか、「ニセモノ作り」に関わる本が目につくと結構読んできたものである。日本の骨董の中の贋物を扱った本としては、「骨董にせもの雑学ノート」(佐々木三味・ダイヤモンド社)が珠玉である。本書では、テレビで見る限りでは偉そうな骨董屋のオヤジである作者が、実に細かい心配りと見かけによらぬ男意気で仕事をしているのが感じられて、なかなかに痛快であった。

11/11 「フォーカス スクープの裏側」
         フォーカス編集部 新潮社 ¥1100 ★★★☆☆ TOP
一時代を築いたといってもいいであろう写真週刊誌「FOCUS」が、廃刊までの20年間を振り返って取材の裏舞台を語った本。数多い”社会派”報道よりも、”芸能”スクープの占める割合が高くなってきたのが、廃刊の一因だったのではないかと思うのだが、どうだろうか。ところどころに見覚えのある写真があって、それぞれの時代を感じさせるのが懐かしい。ただ、挿入されている「カメラマン匿名座談会」のページは、取材の裏がのぞけて面白いものもあるが、全体に軽薄な感じでいだけない。

11/10 「戦争論争戦」
        小林よしのり・田原総一朗 幻冬社文庫 ¥495 ★★☆☆☆ TOP
難しい。難解だというのではなく、出てくる用語や歴史的な背景ら対する知識がなければ何とも判断の付けがたいことがたくさんある。やはり、漫画を読むようにはいかないものである。題名の「戦争論争戦」から、小林よしのりの漫画「戦争論」を軸に話が進められるのだとばかり思っていたのだが、実際は国際政治と歴史認識に終始し、両者の”知識くらべ”の感も強い。田原総一朗の論調もテレビで垣間見るとおりで、論旨は一貫している(ようには見える)ものの、話がアッチコッチに飛ぶのと、自分の主導で奨めていこうとしてい傾向が読みとれる。また、小林よしのりにしても、どうしても「共産主義憎し」「中国憎し」の意見に支配されがちであるような気もするのであるが、どうだろう。

11/06 「呪禁官」
         牧野修 祥伝社 ¥848 ★★★★★ TOP
「呪術」「魔術」が「科学」よりも重視されている架空世界、呪禁官養成学校で訓練に励む4人の少年を軸として、古今東西の魔術による闘いがくりひろげられる、という祥伝社おとくいの伝奇モノである。寮生の学校を舞台に少年たちの活躍と成長を描く、というところから”ハリー・ポッター”の亜流かとも思ったが、やはり純日本産の物語、いちいち”腑に落ちる”描写が続き、最後まで楽しんで読み終えることができた。特に、この架空世界の設定が秀逸で、科学派トオカルト派の論争であるとか、深層呪詛理論だとか、オカルトのシステム化(!)、異なった呪法のエミュレートなどは記述こそあっさりとしてはいるものの、実にワクワクさせられる発想である。似たような科学と呪術の融合といえば、漫画「魔獣結社」(秋恭摩)でも同様の世界観が描かれていたが、こちらは連載の打ち切りと同時に中断。どこかで再開しないものだろうか。本書「呪禁官」、シリーズ化を是非に願う。

11/05 「戦争論2」
         小林よしのり 幻冬社 ¥1900 ★★★★☆ TOP
前作「戦争論」より3年ぶりの続編。前作は5ツ星のお奨め本だったのだが、今回は4ツという評価となった。その理由を自分でも考えてみたのだが、前作が”情念”、”日本人は所詮浪花節”というこちらの心に訴えかける口調であったのに対して、今回は理路整然と組み立てられているところに違和感を感じたのではないか、と思う。この3年間の間に筆者の知識も深まり、またいろいろな方面からの論客との討論の中で筆者の漠然とした”思い”がより多くの人の支えによって理論として完成をみたのだと思うのである。これは、良きにつれ悪しきにつれ、ひとつの世論を作り上げることになり、結果、「もう後戻りできない」ところまで来てしまった。今まで幾多の論証を試みて自説の正当性を訴えてきたのが、今度はまわりからの攻撃、反対勢力からの攻勢に立ち向かうために、理論武装する必要が生じてくる。お互いのアラ探しが始まる…。自分たちだけが善で反対する者は全て悪にダマされている、という考えは、何より筆者の嫌うものであったはずではなかったか。筆者の「個と公」に関する考え方や先の大戦での戦没者への思いには大いに共感する面もあるのだが、どうも話は大きく難しくなっていきつつある。

11/04 「放送禁止歌」
         森達也 時解放出版社 ¥1800 ★★★★★ TOP
これは新古で買って良かったと思わせる本。期待して損をした感じ。巻頭・巻末ともに”お偉いさん”の推薦の言久々の5ツ星、ぜひとも読んでいただきたい!70年代フォークの時代には数多くの歌が放送禁止になったとは聞いていたが、あの「竹田の子守唄」までそのような扱いになっていたとは知らなかった。装丁がなんかドロドロした雰囲気だったので買うのをためらったのだが、結局は買い、で正解だったようだ。ずいぶん以前にTV(かラジオ)で、高田渡の「自衛隊に入ろう」が流れているのを聞いて、あれっこれは放送禁止だったんじゃ?と思ったものだが、そのようなほとんどの歌はメディア側の自主規制によるものであるらしい。ちなみに、本書に掲載されている放送禁止歌のリストで、「おそうじオバチャン」(憂歌団)、「怪傑黒頭巾」(つぼイノリオ)、「聖野菜祭」「朝刊」(さだまさし)、「YELLOW・CAB」(山下達郎)は手元にあるので聞いてみたが、どこが引っかかるのかが全然わからない。きっと、俺の感性が鈍いのだろう(^^;。それよりも、どうして「チンチンポンポン」「金太の大冒険」が放送禁止に指定されなかったのかが疑問。あっちはあからさまなのにな。読み終えてから気づいたが、解放出版社から出ている本。被差別問題に関してはメディアもピリピリしていた当時の現状がよく書き込まれている。学生時代は「竹田の子守唄」は好きなレパートリーのひとつだったのだが、全然意識せず歌っていたものである。もっとも、赤い鳥の持ち歌というよりは、オフコースのライヴ盤で知ったのだけれど。ついでに、この本の著者、同様のドキュメンタリー制作を本にまとめた「スプーン 超能力者の日常と真実」(飛鳥新社)でも、俺は5ツ星をつけていた。読んでいる時には気づかなかったが、文体や取材スタンスの類似があって、読み終えてから気づいたのだった。

10/30 「三日で解決せよ 有珠山噴火現地対策本部長奮闘記
         増田敏男 時事通信社 ¥1800(新古1440) ★★☆☆☆ TOP
これは新古で買って良かったと思わせる本。期待して損をした感じ。巻頭・巻末ともに”お偉いさん”の推薦の言葉で埋め尽くされていて、かなりの分量を読み飛ばしてしまった。なんだか、おじいちゃんの昔の苦労話を聞かされているような感じで、ところどころ自慢話にも(悪意で)とれるような記述も。こういう災害に対した人達の手記としては、雲仙普賢岳の噴火に関する「普賢、鳴りやまず ヒゲ市長の防災実記763日」(鐘ヶ江管一・集英社)の出来がよかっただけに、期待も大きかったのだろう。今回は道内ということもありより身近なこととして読めると思っていだけに残念である。災害時の行政や自衛隊の動き、葛藤は読んでいてよくわかるのだが。

10/19 「鳥頭対談」
        西原理恵子・群ようこ 朝日文庫 ¥460 ★★☆☆☆ TOP
ひと月に一回は本屋で手にして、買うか買うまいかいつも迷っていた本がとうとう文庫になった。ハードカバーで買わずにいて正解。西原理恵子の「鳥頭紀行」シリーズは全部揃えていて、しかもとても面白かったので、今回も期待していたのだが、対談本はちょっと無理があったようだ。女性二人の話はそれなりにテンポもあるのだが、どうにもはしゃぎすぎ、という感じは否めまい。身内の暴露話など、以前読んだ書評にはかなり面白おかしく紹介されていたので期待はしていたのだが。まあ、青春時代の話とか、恋愛観とか、作家の私生活をのぞく、という意味では読んでみてもいいだろうが。西原嬢の読書遍歴を見ると、かなり読み込んでいるような気がする。書かれている漫画や絵柄、エッセイ的な私生活を考えると、ちょっと想像上とはギャップがあって面白い。

10/15 「都市の穴」
        木原浩勝・他 双葉社 ¥1200 ★★★☆☆ TOP
「新・耳袋」の著者による新・都市伝説、と帯にあがまったくその通りで、巷に溢れる都市伝説を集めて紹介している本。海外のものとしては「消えたヒッチハイカー」等の研究本がしられているが、日本のものとしては珍しい部類になるのでしないか。確か数年前に大学の心理学のセンセが日本の都市伝説を採取した本を出したという紹介を新聞で見たような気もするのだが…。たぶんスクラップしてあるだろうから、そのうち見つかるだろう。本書の内容は、語り口からしてやはり「新・耳袋」に通じるものがあるので、その類似本として読む人も多いだろう。どちらかというと、子供の頃に聞き知った話が多く登場するので、ノスタルジアにひたるにはもってこいだが。あまり、心底"怖い"話が出ていないので、読みやすかった。

10/09 「トンデモ本の世界R」
        と学会 太田出版 ¥1480 ★★★★☆ TOP
トンデモ本シリーズの最新刊。今回はジャンル別に最新のトンデモ本を分類し紹介している。特に、UFO・宇宙人本の章で、元CBA(宇宙友好協会)メンバーによる本の紹介の中で、前作に引き続いてCBAのカタストロフ騒動について触れられているのが興味深い。というのも、この夏個人的に平取町のハヨピラのUFO゜ラミッドを見に行ったからである(笑)。この章を担当した山本弘氏は文末で「その後、とり壊されてしまったそうである。」と紹介しているが、実際はボロボロの状態のまま現存している。花時計は町の有志によって復元されているが、丘の頂上にある建物自体はもうボロボロでいつ倒壊しても不思議でない状態であった。ああ、デジカメを持っていかなかった自分が悔やまれてならない…(^^;。町の公園として完全に建て直される前に、ぜひもう一度訪れてみたいものだ。

10/08 「ハリー・ポッターと賢者の石」
        J.K.ローリング 静山社 ¥1900 (借) ★★★★☆ TOP
話題になっていた”ハリ・ポタ”の第1巻。その厚さと話題性の高さからずっと見送っていたが、年下の友人から借りてやっと読む気になった。とは言っても、借りてからすでに2ヶ月は経っているが。結論…。子供向けの物語としては、なるほど面白い。ひとつの章が短くまとめられていてテーマも絞られているので、読み進めていくつらさはあまり感じないだろう。出来の良い連作短編のようだ。しかし、大人が夢中になって読むのがなぜなのか、そこのところがわからない。イギリスで話題になるのは何となくわかる。妖精でおなじみのケルト民話が下敷きにあるので、民俗的にも受け入れやすいだろうし。しかし、剣や魔法、ドラゴンが登場する物語は日本人には感覚的に迎え入れられないような気がするのだ。ただ、今最もこの手の本の購買層になりうる世代は、ゲームや漫画、RPG等で、中世ヨーロッパを舞台とする物語の雰囲気には慣れてきているのか、とは思う。そう言えば、昨今話題の”陰陽師・安倍晴明”モノも、まさかブームになとは思いもしなかったっけ。”ハリ・ポタ”続巻を読む気になるかどうかは未定…。

10/07 「オトコとオンナの深い穴」
        太田垣晴子 メディア・ファクトリー ¥1000(新古¥500) ★★★☆☆ TOP
月刊誌「ダヴィンチ」に連載されていた頃から読んでいた、エッセイ漫画。一冊にまとめられたのは知っていたが、今まで書店では目にしたことがなかった。たまたま新古で出ていたので即購入。「わたくし的読書」の際も感じたが、上手すぎも下手すぎもしない絵柄がなんとなくほのぼの感を漂わせていて、実に読みやすい。今回は、性風俗をはじめとした”オトコとオンナ”の話が満載。取材をもとにした部分も、数字や統計にとらわれずにうまく消化して書いているのがうかがえる。作者自身の性である女性の立場からのものの見方・感じ方が面白い。この人、紀行モノは書いていなかっただろうか。かわった芸風のものも読んでみたい気がした。

09/14 「新・トンデモ超常現象56の真相」
        皆神龍太郎/志水一夫/加門正一 太田出版 ¥1480 ★★★★☆ TOP
トンデモ本シリーズの最新刊。以前刊行された「トンデモ超常現象99の真相」の続編にあたる内容となっている。内容は、UFO、心霊、未知動物、大予言、古代文明と多岐に渡るが、あの懐かしい”オリバーくん”なども登場し、この手の分野ならばほとんどすべての話題におよんでいる。特に、メアリーセレスト号の人間消失事件やニューネッシーなど、今の若い人(笑)は知らないような話題、自分の幼少時に胸をときめかせて読んでいた物語の真相を解明しようとする試みが面白い。トンデモ系の本は夢を壊したと言われがちであるが、長年の無知蒙昧や悪夢から解放してくれる心強い存在でもある。でも、ネッシーはいるけどね(笑)!

09/04 「はじめての3分ハッキング」
        KAZ 三才ブックス ¥1143 ★★★★☆ TOP
書店ではとうとう見つけることが出来ず、インターネットのオンライン販売で手に入れた一冊。月刊「ゲームラボ」で連載されていたものを一冊にまとめたものだが、ハッキングに関する一通りの情報を得ることができる。いわゆる”厨房”本のようでもあるが、それよりも一歩踏み込んだ中級者向けのレベルになっているのがよい。確か連載時にはwwwブラウザ上からいろいろなコマンド入力をする方法が中心だったのではないかと記憶しているが、本書の内容は後半、サーバー”いじり”についてかなり詳しく解説されている。しかも、その通りに実行したからといってすぐにハッキングが実現しない程度の情報に押さえられているさじ加減は見事である。

09/01 「犬がしゃべった!」
        モーリス・ロウドン 評論社 ¥1600 ★★★★☆ TOP
昭和57年初版。書店でみてすぐに購入したはずだが、とばし読みばかりで、ちゃんと通読したのは19年後という計算になる。感無量。内容は”叩く犬”系統で、犬が前足で叩いた数でメッセージを伝えてくる、というもの。本書の中でも触れられているが、飼い主の表情を読んでいるとか、テレパシー的な能力によるとか、諸説がある。本作の中では犬がドイツ語を綴ったことになっているが、学生時代に第二外国語でドイツ語を専攻していた身としては(笑)、これはちょっと無理があるのでは…という感じがする。犬が人間に対して絶対的な愛情のみを抱いているとか、自分が死んだときの記憶をもっているとか、その辺りになるとちょっと懐疑的である。動物の臨死体験については、BRAIN BALLELY(瀬名秀明)にも登場するので、興味のある向きは一読してみてもいいだろう。もっとも、向こうはSF、こちらは(一応)ノンフィクションなのだが。知恵のある動物との交流といえば、映画「イルカの日」を思い出す。テーマ曲がいいんだ、これが。

08/08 「あなたの待つ場所」
        幸森軍也 角川ホラー文庫 ¥705 ★★★★☆ TOP
”人工生命の暴走”という、このジャンルとしはありふれたテーマであるが、序盤の盛り上げ方はとても上手い。特に主人公の男と看護婦の出会いと恋に至る過程が詳しく、恋愛小説のよう。なんだか、「パラサイト・イヴ」(瀬名秀明)の主人公夫婦を彷彿とさせる、ちょっと切ないエピソード。物語自体は、作者自らがあとがきで書いているように、「パワー・オフ」(井上夢人)との類似性はあるが、人工知能・人工生命・インターフェイスと三つの役割を分業したソフトの設定などには新しさを感じる。ただし、パソコン初心者にもわかるような書き方を心がけたためなのか、専門的に踏み込むべき所をさらりと流してしまっているのは残念。また、大きな期待をさせていった結末があまりにもあっけなく終わってしまったのはちよっと…という感じがした。

08/04 「ネットアイドル」
        村松孝英 原書房 ¥1400 ☆☆☆☆ TOP
副題の「Musers@web-site インターネットの女神たち」というのが、実に格好良い。よくムック本であるネットアイドルの紹介本とは違い、掲載されている人数も少数で、どうしてネットアイドルになったのかやその運営していく上での苦労話(?)が中心になっている。ホームページ運営の上で参考になるわけではないが、普通の女性がネットアイドルとして認知されていく過程と、それを支えている常連の姿を知るにはいいだろう。入り浸れる特定のサイトを持たない俺にとっては、ちょっと羨ましい気もする。(笑)

07/26 「唐沢なをきのうらごし劇場」
        唐沢なをき メディアワークス ¥1400 ★★★☆☆ TOP
唐沢なをきの”濃い”一冊。今回は、特撮関係はさることながら「必殺!」シリーズに関わるネタの多いこと。世代的に重なっているので、共感できる部分や記憶も多い。特に、「事件記者コルチャック」に関する件など。ギャグに走りすぎずに、懐かしい部分に言及しているところが、今回読みやすかった一因となっているだろう。それにしても、同じ北海道にいながら、あの時代都市部ではこんなにも情報があったものなのか…。

07/17 「新ゴーマニズム宣言 10」
        小林よしのり 小学館 ¥1155 ★★★☆☆ TOP
これは、今日読んだ”本”なのか”漫画”なのか迷ったのだが、活字としての情報量の多さから、こちらに書いておくことにした。歴史教科書問題が白熱している昨今、何かと話題になる著者の新刊である。以前同じ著者による「戦争論」と「台湾論」についての感想を書いたのだが、多少著者の考えが見えなくなりつつあるような気がする。「言葉狩り」の時も「AIDS問題」の時も、何が正しくて何が間違っているのかの判断基準として大いに参考にできたはずなだが、袂を分かった人に対するその後の描き方を見ていると、どうにも浅ましさが鼻なつくようになってきてしまった。それを変節とまでは呼ばないにしても。トリックスターとしての立場をとっている著者の意図はわかるのだが…。今回は「新しい歴史教科書をつくる」立場と「台湾と日本との橋渡しをする」立場とがどうにもうまく両立させられずに消化不良を起こしているような感じが否めないのである。ただ、「戦争論」の時も思ったことだが、基本的に”先の戦争を全肯定するわけではないが、徒に否定することは先達に失礼だ”という立場、スタンスは見習うべき所が大きいのではないか。声高にそれを叫ぶ勇気を自分は持ち合わせてはいないのだけれど…。

07/16 「インターネットの秘密」
        HIROMI LOCUS ¥1300 ★★★★☆ TOP
「誰も書かなかったネットのルール」という副題がついているのだが、これはちょっと…。ただし、内容は予想よりも面白く、ためになる部分もあった。saposen.comの管理人が著者であるが、インターネットに接していくうえでのマナーと、オカシナ人々の実例が挙げられている。特に、後半のWEBマスターの心得みたいな部分が特に良い。「嫌なら二度と見なければいいのではないでしょうか。」というくだりが、正
に正鵠を射ているのだ。俺自身、掲示板に乗り込んできて説教を垂れ流す人物に辟易したことがあるのだが、他の人達も見ている手前、強い意見を言えずに苛々した覚えがある。この、”他人の家に上がり込んで説教して帰る”という行為を、本人は正当な行為、その人の為と思っているところが、実に愚かしい。初心者に向けてはネットのマナーを、WEB管理人には対処法を教えてくれる、ためになる(笑)本。

07/12 ネットフォース・エクスプローラーズ 仮想破壊者」
        トム・クランシー アスペクト ¥1200 ★★★☆☆ TOP
よくあるV.R(ヴァーチャル・リアリティー)の描写が多いが、前作とは違ってあくまでも現実空間での行動、活動がメインに描かれている。セキュリティーシステムなど、将来実現化しそうなアイディアが満載であるところに現実味があっていい。人間味溢れるところは、ジュブナイルとしてすぐれているし、さすが軍隊を持っている国の物語だけあって、銃器に関わる描写もいい。黒幕の犯人が旧式のパソコンを使って謀略をすすめるためのプログラムを書いていたり、キーボードが過去の遺物になっているあたりも。現代のWindows環境から見たらUNIXやMS-DOSの時代がこう見える、というような雰囲気がある。トロイの木馬やトラップドアのようなプログラムがV.R空間では実体化して見えるというのはSF小説ではよくあるアイディアだが、その辺の描写は今後洗練されていくだろう。

07/01 ネットフォース・エクスプローラーズ 陰謀のゲーム」
        トム・クランシー アスペクト ¥1200 ★★★★☆ TOP
舞台が2025年の仮想空間ということで、ネット内でも飲食ができたり臭いを感じることができたりと、多少現実離れしたところはあるが、総じてイメージしやすい設定にはなっている。そういう意味では、表紙の絵はあまりにもSFしすぎていてハズレだろう。仮想のネットゲーム空間ということで、モデルになるのはやはりウルティマ・オンライン辺りだろう。いろいろな職業や仕掛けが講じられているのは実現化しそうな気はして楽しみである。また、本文中の描写が向こうの人間のゲームのとらえ方を反映しているところも面白い。ただ、ゲーム空間の中の描写が多いため、”剣と魔法のファンタジー”をそのまま読んでいるような気がさせられるのが残念。主人公とは言えども特別な能力を持ってはいない、という設定はいい。

06/25 「墜落現場 残された人たち」
        飯塚訓 講談社 ¥1500 ★★★★☆ TOP
あの「墜落遺体」(講談社)の著者がその後の追跡取材を行って著した本である。御巣鷹山・日航機123便に関わる本はけっこう出版されているが、自衛隊機による撃墜など信じがたい説を唱えるものもある中、全著「墜落遺体」はその場に居合わせた”現場”の人間にしかわかりえない悲哀が描かれていて感動したものだった。(勿論、他人を感動させるためにあの悲惨な事故が起きたわけではないので、声高にそれを言う人間は嫌いだ。)昨年、事故発生から墜落時までのボイスレコーダーの内容が公開され、TVでも放映されたのを見たが、直面する死に対して最後まで生還に向けての努力を続けていた当事者には尊敬の念を抱く。責任がどこにあるかとかいう世間的な批判や好奇の目には、あの事故を他人事としかとらえられない人間の愚かしさを感じてしまう。とは言っても、その好奇心がなければこれらの本を手に取ることもなかったであろう自分も認めなければならないが。事故から十六年を過ぎその風化が危ぶまれているが、今回のようなその後の関係者の追跡取材は続けていってもらいたいものだと重う。本作では、今まで表舞台で語られることのなかった病院関係者や葬儀屋の活躍(!)なども知ることができる。こうして今まで人知れぬところで努力していた人たちの善意と使命感が多くの人たちに知られるようになっていくのはおおいに歓迎すべきことだろう。誰もが何かひとつの”善きこと”のために力を合わせるのは素晴らしいことである。しかし、それでも事故は起きる…。

06/19 「スプーン 超能力者の日常と憂鬱」
        森達也 飛鳥新社 ¥1700 ★★★★★ TOP
スプーン曲げの清田益章、UFO呼びの秋山眞人、ダウジングの堤裕司という3人のサイキッカーを軸にドキュメンタリー番組「職業欄はエスパー」を撮った映像作家が彼らと接する中で見た、”超能力者の日常”を描いたドキュメント。その番組の予告は何かで見た覚えがあるのだが、番組放送は見なかった。なぜなら、清田クンの傲岸な態度も秋山サンの胡散臭さもどうにも我慢ならなかったからである。ところが、本書に登場する彼らは、実に人間臭く愛嬌たっぷりな素顔で登場してくる。「超能力者なんてどうせ世間に背を向けたひねくれ者」という持論が覆されてしまいそうだ。あっ、堤氏は別ね、だって彼もマジックがすきなんだもの(笑)。彼らの日常の生活と超能力のパフォーマンスの両方に接した著者は、いったいどのような感興を覚えたのだろうか。肯定・否定のどちらに与するかは明かであろうが、そのような立場に立たされた人間のとまどいの様子もまた面白いものがある。最初は”サイババ本”みたいに否定論者であった著者がだんだん真実に触れて…という展開を予想してあまり期待せずに読み始めたのだが、良い意味で裏切られた結末であった。「超能力」というちょっとブームからは外れたテーマであるが、星5つ、お奨めできる本である。

06/18 「新耳袋 第六夜」
        木原浩勝・中山市朗 メディアファクトリー 1200 ★★☆☆☆ TOP
「現代百物語」と明った新耳袋シリーズの第6巻。巻を重ねるごとに恐怖度はダウンしつつあるように思われるが、そのぶん”奇妙な味わい”の話が増えているような気がする。雑誌「ダヴィンチ」に掲載される読者からの投稿は創作がだいぶ多いようであるが、本書にまとめられる際には、そこかしこに作者の伏線や仕掛けがほどこされているようで、それを考えながら読み進めていくのが結構楽しい。今回も狐狸妖怪の類を扱った話も掲載されている。

06/16 「空前絶後のオタク座談会@ ヨイコ」
        岡田斗司夫・山本弘 音楽専科社 ¥1500 ★★☆☆☆ TOP
”史上最強のオタク座談会シリーズ”「封印」「回収」「絶版」に続くシリーズの第1巻。内容は前シリーズにもまして”濃い”ものになっているため、興味のない部分、ついていけない部分が目立った。今回も、アニメ業界、特撮業界の内情を紹介しているものが大部分。ちょこっとだけ大槻ケンヂとのUFO、格闘技に関する話題が登場する。何にせよ、同じ話題、しかも”深く””濃い”部分で共通する話題を持つ友人がいるというのはうらやましい限りである。

06/14 「新・魔獣狩り 7 鬼門編」
        夢枕獏 祥伝社 ¥800 ★★☆☆☆ TOP
このシリーズを読み始めてから、もう20年もたってしまったのかと思うと、感慨深いものがある。伝奇風味のセックス&バイオレンス小説としては、菊地秀行と双璧をなす作家であろう。特に二人とも朝日ソノラマで作品をだしていたあたりが。当初は両方とも同じくらい買って読んでいたのだが、いつの間にか夢枕獏に偏っていってしまった。当時は、菊地秀行の「エイリアン」シリーズと夢枕獏の「キマイラ」シリーズが何よりの楽しみだったものだ。今回、物語はますます広がりを見せていき、キャラクターは魅力的であるものの、もう収拾のつかないところまできてしまったような感じを覚えた。あと2〜4巻以内で完結するとあとがきの中で述べられていたが、どうも消化不良を起こしてしまいそうな気もする。特に、擬史に踏み込んでしまって歴史的な記述が増えているのがそれを予感させる。独特の文体はすでに完成をみているので、その筆力だけで最後まで引っ張られてしまったら、とんでもなく虚しい思いをさせられるのではないかとさえ思う。願わくば、20年以上にわたって楽しみにしてきたこの物語に落胆させられずにすむことを…。

06/12 「それがぼくには楽しかったから」
         リーナス・トーバルズ SHO-PRO BOOKS ¥1800 ★★★☆☆ TOP
全世界を席巻した「Linux」の開発者による、ちょっと早すぎる自叙伝、というか立身伝。(笑)何か”オタク”というキーワードにこだわりすぎな気もするが、中盤プログラミングやコンピューターのハードに関する話がたくさん出てきて、それはそれで面白い。ビジネス書として読む人
にはちっとも面白くない部分なのだろうけれど。ゲーム「プリンス・オブ・ペルシャ」をして遊ぶという話が出てくるのだが、あの頃にUNIX並みのOSを作っていたというのが、まず驚きである。GNU-EmacsやらGCCやら、あのコマンドラインから入力していたMS−DOSの時代が本当に懐かしく思い出される。オープンソースの旗頭のように扱われている作者だが、そのこだわりには少々辟易させられるものがあるのだが…。また、OSのカーネル部分に採用したシステムについて、マイクロ・カーネル(機能を分割しそれぞれの部品を自由に取り替える)とモノシリック・システム(多くの機能がカーネルに含まれている)を比べてLinuxの採用したモノシリック・システムの方が優れているとした点については個人的にどうかな?とも思う。必要な機能だけをオプション的に組み合わせて使う方が、最初から”重い”システムよりもはるかにまし、と考えるからである。まあ、一般的に使うプログラムとOSのカーネルとでは違うのだろうが。訳者のあとがきを見ていて気づいたが、この風見潤というのはSFの世界では有名な人なのである。

05/30 「ほぼ日刊イトイ新聞の本」
        糸井重里 講談社 ¥1700 ★★★☆☆ TOP
インターネットの人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(http://www.1101.com)の立ち上げから現在に至るまでを綴った、著者曰く”ある種のビジネス書”。糸井重里と言えば著名なコピーライターという肩書きしか知らなかったから、サイトの運営の参考にでもなるかと思ってあまり
期待はせずに買ったのだが、楽しく読み終えることができた。もっとブンカジン的な発想の人かと思っていたが、案外に”熱い”人物像が伝わってくる。ただ、ビジネスとしてどう成功したのか、その辺についてはとうとう触れられることなく、ちょっともの足りない感じも。

05/29 「トラッシュバスケット・シアター」
        岩井俊二 角川文庫 ¥857 ★★★☆☆ TOP
映画を絵と文で綴ったエッセイ集。病院の待ち時間に読む軽い読み物としては最適の本だった。中で紹介される、作者の原体験といえる映画の数々が、自分のそれとだぶるのは、やはり年代が同じせいだろうか。ドリーム・チャイルド、トリプルファイター、ノストラダムスの大予言、小さな恋のメロディ、東京少年のヴォーカル笹野みちる、魔獣戦線…、懐かしい題名が目白押しである。

05/06 「インターネット熱闘言」
        橋本和明・芝雅之 オークラ出版 ¥1000 ★★☆☆☆ TOP
ウルトラブックと題するムック本の一冊。インターネット事情本とでもいうべきジャンルに入るだろう。コラムとして書かれた文章をジャンルごとに整理しているので、読みやすい。これは年代・時系列ごとに並べるよりもわかりやすいだろう。ただし、”実用的”な一冊ではない。紹介されるサイトのURLは載っているものの、その大部分が現在は削除済みなのである。インターネットの上で話題になっていた事件や出来事を知るために読むのがふさわしいだろう。ただ、どう見てもアダルト関連の記事の分量が異常に(笑)多く、興味のない部分にばかりページが割かれており、ちよっと不満も残った。

05/04 「うそをつく女」
        ソフィー・マルソー 草思社 ¥1600 ☆☆☆☆ TOP
予想はしていたものの、読み応えのなかった一冊だった。著者である女優・ソフィー・マルソーが13歳で映画「ラ・ブーム」に主演したのは何年前のことだろう。当時、「フランスの薬師丸ひろ子」というキャッチフレーズが映画雑誌に載っていたことを思い出す。主題歌とも相まって、何とも言えないありきたりのつまらなさを感じさせる、それでいてどこか懐かしいような妙にもどかしい映画だった。これは、「小さな恋のメロディ」とも共通したイメージではないだろうか。この本は、日本でよく見られるような女優の告白本ではない。自伝的小説、とでも言ったらいいのか、真実と虚構がないまぜになっており、それが題名の「うそをつく女」に表れているのだそうだ。訳者自身が「たしかに小説として完成度が高いとはいえない」とあとがきの中で述べているが、どうにも日本の若手の女性作家が書く新人賞の入選作、みたいな内容である。修辞が多く気取った表現、妙に芸術的な言い回しの目立つ(鼻につく?)ところは、いかにもフランス文学的、という感じ。ソフィー・マルソーという著者名に惹かれなければ絶対に買わなかった一冊。そして、たぶんもう読み返すことのない一冊。

05/02 「私たちはなぜ科学にだまされるのか」
        ロバート・L・パーク 主婦の友社 ¥1900 ★★★★☆ TOP
著者いうところの”ブードゥー・サイエンス”、いわゆる疑似科学に我々が惑わされる過程を解説してみせた一冊。物理学者らしい科学的なアプローチの仕方でその欺瞞を暴いていく様は、トンデモ本シリーズとはまた違った痛快さがある。特に、フリーエネルギーについては、日本でもいろいろな書籍が刊行されているが、実際中心的な役割を担う人物が科学界ではどのような位置にいるのか、その信頼度も含めて解説されている。また、物理学や化学に関する説明も、中学生でもわかる程度のレベルで解説されているのがとてもわかりやすい。いかにもアメリカ的なショーアップされた演出と金儲けの構造。日本でもこのような切り口で書かれた本はないものだろうか。大槻教授?あれは…。(苦笑)「常温核融合」、「ホメオパシー」、「永久機関」とおなじみのキーワードが続くが、何といっても「電磁場が白血病の原因となる」という噂に関しての報告が興味深い。なるほど、統計学的手法も、使い方によっては正反対の結論を導き出すこともできるわけだ。

04/28 「パワー・オフ」
        井上夢人 集英社文庫 ¥800 ★★★☆☆ TOP
600頁。ちょっと時間はかけたものの、ゆるゆると最後まで読み終えた。ウィルス、ネットワーク、人工生命と、興味のある話題゛ったからだろう。ここで話の中心となる人工生命は、略称ALとするもので、その概念は先日読んだ「BRAIN VALLETY(上)(下)」( 瀬名秀明)にも登場している。ひと昔前までAIと読んでいたものとは概念を異にするらしいが、どうにもその違いをうくーまく説明できない。「人工知能」と「人工生命」の違い。それによって生み出された変種のコンソ゜ュータ・ウィルスが世界中のパソコンを混乱に陥れるという話なのだが、舞台がインターネットというよりもパソコン通信を主としているため、ちょっとした雰囲気をつかみづらいところがあった。しかしながら、まずMS−DOSから登場してくるところは、なかなか良い。ウィルスにせよワームにせよ、どうしてもGUIベースのウィンドゥで繁殖するイメージが思い浮かべづらい。やはりコマンドラインがよく似合う。(笑)この本がハードカバーで発売された頃の宣伝文句にはフランケンシュタインという言葉がのっていたと思うのだが、造物主の意図せぬ方向への悲劇、というテーマはこの物語に限らず個人的に気に入っている。やはり科学がどのように進歩しようとも、人知の及ばぬ”何か”がこの世界を動かしている、と思う運命論者的性格か。作者・井上夢人の傑作は、「おかしな二人〜〜岡嶋二人盛衰記〜」(講談社文庫)ではないか。推理作家・岡嶋二人としてコンビを組んでいた二人が仲違いからコンビを解消するまでを描いた物語。エッセイというよりもドキュメントといった方がいいのかもしれないが、作家のデビューから産みの苦しみまでが描かれていて、一気に読み通せるくらい面白い。

04/19 「ブギーポップは笑わない」
        上遠野浩平 電撃文庫 ¥550 ★★☆☆☆ TOP
買ってからずいぶんと時間が経ってしまったけれど、今まで斜め読みしていたものを通読。一部マニアックな人気のある作品だが、この暗いイメージに惹かれたのである。ただ、ちゃんと読んでみると、シニカルな二重人格というだけど、それほど新鮮味のあるものとは感じられなかった。様々な登場人物の目からひとつの事件を語るという手法は効果的ではあった
けれども、その人物群が多すぎて、見開きのイラストでいちいち確認しなければ、誰がどの視点で語っているのか、混乱することもしばしばあった。アイキャッチになにやら意味深げな雰囲気を持たせるのは、「エヴァンゲリオン」以来の風潮だが、この切り取ったひとつひとつの台詞のかっこうよさ、決まり方は、映画的というよりも演劇的でなかなかよかった。この電撃
文庫にせよ、角川スニーカー文庫にせよ、粗製乱造の気味を感じるのは自分だけであろうか。逆に言えば、その多数の中から浮かび上がってくる作品にこそ、読む価値があるというものなのだろうが。とりあえず、ブギーポップの続編には今のところ食指は伸びない。

04/09 「わたくし的読書」
        太田垣晴子 メディア・ファクトリー ¥950 ★★☆☆☆ TOP
まず、帯の文句が笑える。「セイコは、ゆるゆる。」もちろん、この後に「いっしょに脱力してみない?」という文句が続くのだが、女性作家の棚にひときわ目立つこの帯…。(笑)内容は、書籍情報誌の「ダ・ヴィンチ」に連載されていた、作者の読んだ本に対するエッセイである。内容は多岐にわたっているが、ちょっと触れられているだけだがなかなか面白そうな題名も並んでいる。この本はたぶん”エッセイ漫画”の部類に入るのだろうが、情報量が多いので好みだ。同じ作者が現在「ダ・ヴィンチ」に連載しているエッセイ漫画も、毎月楽しみである。

04/08 「と学会年鑑2001」
        と学会 太田出版 ¥1300 ★★★☆☆ TOP
さて久しぶりの”トンデモ本”である。以前「間違いなし」と太鼓判を押したものの、ちょっと肩すかしを喰らった覚えがあったのだが、今回の出来はどうか。結論としては、まあまあの出来で、ちゃんと笑わせどころのツボは押さえた仕上がりとなっている。「トンデモ本の世界」「トンデモ本の逆襲」は、機会があれば何度でも読み返し何度でも笑える本なので、それだけに続巻の出来が心配なのである。もちろん、トンデモない内容の書籍紹介が中心ではあるが、グッズなども紹介されて、と学会レポートとして楽しめるようになっている。巻末のあとがきで、と学会会長・山本弘氏が書いているが、確かにアンチと学会派よりもと学会シンパの方がやっかいな存在なのであろう。平井和正「真・幻魔大戦」(?)の中で、ころびバテレンが改宗してしてしまう際の心理描写があって、これはうまく表現されているのだが、今まで信じていたものに少しでも疑念が湧いた瞬間、人はそれに敵対心を抱き始めてしまうものなのだろうから。

04/04 「鉄甲機ミカヅキ(下)」
        飯野文彦 角川スニーカー文庫 ¥648 ★★☆☆☆ TOP
待望(?)の下巻。本編(TV放映)と比べてみると、上巻の内容が詰め込みすぎだったような気がしていたので、てっきり上中下の三巻構成になるものと思っていたのだが、あっさり下巻で完結した。確かに、TV本編をそのままノヴェライズするのでは芸がなさすぎるから、これはこれでいい感じかもしれない。「機動戦士ガンダム」が朝日ソノラマで文庫化された時は、あまりにもTV版と違って驚いたものだった。(なにしろ、アムロとセイラさんのベッドシーンまである…。)その反対に、「ケイゾク/特別篇」の文庫本を立ち読みしたら、台詞まで完全に本編そのままなのでがっかりして買う気が失せたものだ。「鉄甲機ミカヅキ」は”少年の成長”もテーマに含んでいるそうだが、そういう意味では、物語としてうまく完結している。特に、本編ではワキ役だった土肥原の人物像に焦点が当てられていて、オトナの面から見ても面白い。ラストシーンの、主人公・風雄とは何ら関係のないオチがとても良かった。

   04/01 「iモード事件」
          松永真理 角川書店 ¥1300 ★★☆☆☆ TOP
iモード開発者の一員として有名になった女性の書いた本。こういうサクセスストーリーを描いたビジネス書は本来興味がないのだが、先月読んだ「ポケモンストーリー」が思いの外良かったので買ってみた。いつも思うのだが、成功したからこそ言える事、というのもあるのではないか。後から考えてみたら、全てが良い方向に向かっていた、という事が。もちろん、運も実力のうち、という言葉もあるのだけれど。本書はページ数も少なく、中で騙られる言葉も平易なものなので、すんなりと読み終えることができた。一女性の眼から見たiモード開発の事情としては上手くできていると思う。iモード立ち上げについてはある程度イメージできたので、今度はiアプリ等の事業
の展開と拡大についても読んでみたいと思う。

   03/31 「BRAIN VALLETY(上)(下)」
          瀬名秀明 角川文庫 (上)(下)¥619 ★★★☆☆ TOP
上下巻あわせて900ページを越す長編だが、あっという間に読破。なぜかというと、あまりにも専門的な話題が多かったので、読み飛ばした部分が多いのだ。さすが、理科系というかハードSF系である。とはいうものの、脳医学、臨死体験、UFO、アブダクション、動物との知的コミュニケーション、人工生命と、盛りだくさんの内容であり、どのように決着づけるのかが、最後までとても楽しみでもあった。まるで半村良「石の血脈」のようなバラエティーさである。同じ作家による「パラサイト・イブ」の時も感じたことだが、専門用語が多いことによって結構力づくで納得させられる部分が多いものの、よく考えるとあれっ?という部分もある。結末はよし。

   03/26 「すべてがEになる」
          森博嗣 幻冬社 ¥1800 ★★★☆☆ TOP
半年かけて読み終わり、ホッとしている。なにしろ500ページもあるのだが、それぞれのページに込められている情報量が多いのだ。元々はホームページ上で公開されていた日記を中心に構成されているので、作者の日常の生活がわかって興味深い。時事ネタが少ないのも好み。ただし、読んでいて作者とは考えを同じくできない部分も多く、それが読み進めるのを
阻む原因のひとつになっていたのかも知れない。例えばそのシニカルな物言いとか、Mac信者がWindows使用者に対する見下したような態度とか。生活や思考上のスタイルを確立しているという点ではうらやましくもあるのだが、何だか所詮住む世界が違う…という感想を持ってしまった。続編も出ているようだが、この徒労を繰り返したくないので、もう買うつもりはない。

   03/25 異形コレクション15 宇宙生物ゾーン」
          井上雅彦・監修 廣済堂文庫 ¥800 ★★☆☆☆ TOP
「宇宙生物」と銘打っているが、宇宙人もその中に含まれているし、UFO(空飛ぶ円盤)もその中には含まれているようだ。こうやっていろいろな宇宙生物の並んでいるところをみると”不定形の生き物”というイメージのものが多いような気がする。これは、まだ見ぬものに対するイメージの表し方として共通する表現なのだろうか。漫画では宇宙生物の捕獲を題材
にしたものとして「ベムハンター・ソード」星野之宣(講談社)という優れた作品がある。この中に登場する生物の描写が、ハードSFしていてとてもいいのである。文章による描写でイメージを膨らますか、実際に描かれた絵を見て楽しむか、どちらがいいのか。

   03/18 「セブンズフェイス」
            原案・秋本康 著・加藤学生 メディアファクトリー ¥580 ★★☆☆☆ TOP
何か映画かTVシリーズの原作らしいのだが、インターネットの掲示板が登場するとかあらすじに書いてあったので読んでみた。中編で読むのには苦労しなかったが、内容は…。(笑)主人公の刑事の心理描写は結構うまくできているのだが、いかんせん登場人物が多すぎるため、個々のキャラクターの判別がしづらい。謎の少女(女性?)という設定も、ちょっと陳腐
過ぎるのではないか。全体の構成と謎解きはいい線いっていると思うので、もっと書き込みをして長編に仕上げていったら、より楽しめる作品に仕上がったのだろうと思う。

   03/18 「ポケモン・ストーリー」
          畠山けんじ・久保雅一 日経BP ¥1400 ★★★☆☆ TOP
読み終わるまでに半月以上はかかっただろうか。全542ページもあり、小学生でも読めるように全ての漢字にルビがふってあるのだ。しかし、小学生が読むだろうか、ビジネス書を?<倒置法(笑)内容は、ポケモンの企画の立ち上げから、アニメ化、世界的に拡大していく戦略の過程を追ったものである。似たような狙いを持ったものとしては、周坊正行監督が映画のアメリ
カでの公開を成すまでを追った「『Shall we ダンス?』アメリカを行く」があったが、本作はゲームソフトの構想とキャラクター商法の展開に詳しくページを割いている。確かに内容は面白くはあるのだが、ヒットしたからこそ言えるのでは…?という感想もなきにしもあらず。ポケモンについてはプレイしたことも興味もなかったが、機会があれば触れてみたいとも思った。

   03/11 異形コレクション17 ロボットの夜」
          井上雅彦・監修 光文社文庫 ¥838 ★★☆☆☆ TOP
「異形コレクション」シリーズは全冊揃えてはいるのだが、まだまだ読んでいないものばかりである。短編なので読みやすいのは確かなのだが、同一テーマでかかれているので、多少飽きてしまう(笑)時があるのだ。今回のテーマは「ロボット」。とは言っても、精密な機械から人造人間、機巧(からくり)と表現の仕方は多岐にわたっている。似たようなテーマとして、「コンピュータの反乱」を描いたものが多かったように感じたが、ハードSF(というよりソフトSF?というジャンルが増えていくのか。)に楽しめるものが多かった。フランケンシュタイン・モンスターものが少なかったことと、ホムンクルスものがなかったのはちょっと意外だった。

   02/21 「芸能界裏事件簿」
          覆面芸能記者会編 フランス書院 ¥914 ★★☆☆☆ TOP
「事件で綴る芸能界裏面史」という惹句で買ったわけでは決してないが(笑)、読んでいてなかなかに楽しかったのは確か。1960年代から2000年までに起きた芸能界での様々な事件が年表も含めて網羅されている。ゴシップとして読んで楽しいというよりも、それぞれの時代にどんなことが起きたのかを知るのにちょうどいい。「自分史」づくりになどは役立ちそうである。自分が生まれる以前から、リアルタイムで見てきたテレビや芸能の世界を振り返るにはうってつけ。価格の割には情報量が多くて得をした気分もするが、もう一度読み直してみたいとは思わないのが少々難か。

   02/17 「あやしい探検隊焚火発見伝」
          椎名誠・林政明 小学館文庫 ¥638 ★★☆☆☆ TOP
椎名誠の文体にも慣れてきた。と言うよりも、この誰かが軽薄フチョウ体”と呼んでいた文体自体がそう珍しいものでもなくなったのではあるが。初めて目にした頃は面白くて大学の授業の中で国語学の一授業としてレポートしたりもしたのだが。もう何年も前になるが、椎名誠の「岳物語」を読んで、えらく感心したものだ。実に力が抜けていながらもよく書けている。ドキュメントというよりも、ノンフィクションといった感じがしたものだ。本作は、「あやしい探検隊」シリーズの一環として、いろいろな土地で美味しいモノを作っては、それにまつわる話を綴ったものである。第1回に登場する「たぬき汁」、常々これは食べてみたいと思っていたので、読んでみて興味津々であった。また、第6回のアブラアゲの話に登場する、狐を釣るためのネズミの天ぷらの話、民族学関係の本(井上円了辺りだったか?)で読んだり、落語で聴いた記憶があり、とても懐かしかった。

   02/12 「マザー・ハッカー 1999年のゲーム・キッズU
          渡辺浩弐 幻冬舎文庫 ¥457 ★★★☆☆ TOP
短編小説、というには短く、まさにショートショートの系譜を継いでいる作品集であろう。同作家の「BLACK OUT」は懐かしい「怪奇大作戦」を思わせるものがあったが、こちらの掌編集は、どうしても星新一のショートショート群を思わせる。星新一はショートショートのアイディア作法として、異質なもの、意外なもの同士の組み合わせということを口にしていたが、渡辺浩弐の一連の”仮想科学小説(シム・フィクション)”は、科学技術をベースとしているだけに、その実現性の”近しさ”が心惹かれるものを持っている。特に第25話「劣等生」は世界設定が見事。こんなに単純な転換でありながら。

   02/09 「新耳袋 第五夜」
          木原浩勝・中山市朗 メディアファクトリー ¥1200 ★★☆☆☆ TOP
「新耳袋」シリーズ第五弾にして最新刊。著者があとがきで自ら書いているように、”原点回帰”の印象が強い。”怖い”話と言うよりも”不思議な話”が多いのはそのせいか。星新一のショートショートを読んでいた頃よく目にした”奇妙な味”という形容に近いかも知れない。さらに言えば、水木しげるの初期作品を読んでいるような雰囲気、というか。本巻では、戦争にまつわる物語が多数収録されているが、月並みな「本当に怖いのは人間そのもの」なんていう台詞を思い出したりして、愚にもつかない評論家のような心持ちにしばし浸ってしまうのだった。この手の怪談集で今まで読んだ中で一番怖かったのが、「あやかし通信」という本。怖いけど後をひく面白さ。こんな物語を書いてみたいと思わせる。また、海外ホラーでは、「地獄の家」が秀逸。映画化(邦題「ヘルハウス」)された作品では伝わらない、ゴシッククホラー特有の雰囲気が冬の夜に最適である。

   02/07 「新耳袋 第四夜」
          木原浩勝・中山市朗 メディアファクトリー ¥1200 ★★☆☆☆ TOP
「新耳袋」シリーズ第四弾。こういう本を読んでいると、現実の自分の体験と重なる話があるもので、そのたびに「そういえば…。」と思い出すことが出てくる。このへんはもしかしたら、ユング謂うところの”集合的無意識”というやつかも知れない。緑の小人が登場する話。似たような経験があるのだが。高校時代、友人のA君が緑色の気味悪いモノに追いかけ回される夢を見た。翌日彼にその話しをしかけようとすると、「なんでお前がそれを知っているんだ!?」と青くなっていた。聞くと、同じ内容の夢を見てうなされたのだそうだ。シンクロニシティ?それとも、彼のデ・ジャ・ブだったのだろうか…。

   02/05 「新耳袋 第三夜」
          木原浩勝・中山市朗 メディアファクトリー ¥1200 ★★☆☆☆ TOP
「新耳袋」シリーズ第三弾。今回は「もうひとりの自分」と題して、ドッペルゲンガー(二重身)の話がいくつか載っている。自分でも学生時代に講義を終えて教室から出てきたところ、友人からまだ中にいたと言われたり、研究室に入ってきた先輩からさっき表に出ていくところにすれ違った、と言われたことがある。この現象は、一般的に神経衰弱の兆候で、芥川龍之介やモーツァルトも同様に死ぬ直前に自分自身のドッペルゲンガーを見たといわれている。江戸時代などにも離魂病といわれるような病気や、現代の乖離性同一障害(多重人格)などが、これに類するものかとも思われるのだが。ライフワークの民族学趣味として、身の回りの伝承や年伝説を収集・分析してみるのも面白いかもしれない。本当は怖くて仕方がないのだけれど。

   02/04 「新耳袋 第二夜」
            木原浩勝・中山市朗 メディアファクトリー ¥1200 ★★☆☆☆ TOP
「新耳袋」シリーズ第二段。内容自体は、一冊目ほど怖くはなかったが、著者曰く”禁じ手”として掲載しなかったという物語にこそ興味がある。例えば、阪神淡路大震災にまつわる話。震災当時のニュース報道を観ていても、不思議なほど遺体や犠牲者に関する具体的な映像は見られなかったが(報道の倫理観によるものか)、その背後にはやはり、ホテルニュージャパンの時と同様、そこにまつわる怪談が数多く生まれているのだろう。本書の中では、小さきものたちの六つの話と題して、”小人”の目撃談が掲載されているが、いづれも西洋、特にケルト系の民話に登場するような風体の小人であるという点に興味深いものがある。日本の”小人”と言えば、佐藤さとるの「コロポックル」のシリーズや倉本聰の「ニングル」がよく知られているが、後者はその導入から記述があまりにも具体的で、ノンフィクションのような作り方に引き込まれるものがある。ただし、後半は説教だが…。(^^;

   01/31 「あの頃ぼくはアホでした」
                      東野圭吾 集英社文庫 ¥552 ★★★★☆ TOP
小学校、中学校、高校、就職と、作者の自伝エッセイ。大阪人ならではのエピソードも多いが、ちょうど年代が重なっている部分もあり、懐かしく読むことができた。自分の青春時代を思い返し、エッセイでも書きたくなってしまうような一冊。学生時代をつづったものとしては、「むさしキャンパス記」(かんべむさし)を学生時代に読んだ記憶があり、その時もエッセイを書こうとして資料を集めたものだった。記憶を辿って書こうとしても、当時あった出来事や世相までは思い浮かばないのであきらめかけていたのだが、昨今の”自分史”ブームのおかげで、その年の代表的な出来事を検索したり知ることは容易になりつつある。時間ができればぜひ書いてみたいものだが、いつのことになるやら。とりあえず、アメリカ旅行記と中国旅行記とWeb版「病気なワタシ」を何とかしたいところではあるが。

   01/28 「新耳袋 第一夜」
          木原浩勝・中山市朗 メディアファクトリー ¥1200 ★★★☆☆ TOP
「現代百物語」と銘打った物語集。いくつかに類別し章題を設けているのだが、生理感覚に訴えるような「気持ち悪い」話ではなく、「怖い」話を集めている。都市伝説の類も含んでいるのだろうが、遠い伝聞で書くのではなく、比較的身近な人間の話として伝え書きしているところが、迫真である。興味深いのは、狐狸の類の妖怪に関わる話と、小松左京「くだんのはは」にも描かれた牛頭人体の「件(くだん)」の話。戦後という、比較的近年に起きた出来事が採取されているところが、いい。自分でもいつか、身近な人間から実際に体験した怪談を採録してみたいという考えがある。実際、狐にだまされたという話を聞いたのが中学生の時であり、その後自分でも死線を彷徨ったことがあり、不思議な体験も多くしているのだから。「新耳袋」は続々と刊行が続いている。近くまた読むつもりである。

   01/18 「男」
                 柳美里 メディアファクトリー ¥1200 ★★☆☆☆ TOP
月刊誌「ダヴィンチ」上で連載されていた時にパラパラと読んでいたので、一冊にまとめられた本書を購入した。自伝的エッセイというのか、性愛小説というのか、ジャンルは何と言ったらいいのだろう。中沢けいの初期作品を思い出したり、斉藤綾子をソフトにしたような印象も。女流作家というのは、ともすると抽象的・感傷的すぎると思うのだが、そこに”男”という生々して要素が加わっているのがいいのかも知れない。ただし。個人的にはあまり好きな作家ではない。知識人・文化人としての発言にどうも気に入らない所があるので。また、続く「命」という作品。不倫から始まった出産と愛する男性の闘病生活を描いたもの(だそう)で、世間的には評価が高いのだろうが、”邪推”するに…女性読者の共感がそれを高めているのではないだろうか。男性の立場からするとどうなのだろう?未読で評価するのもどうかとは思うが、とりあえず生理的に読む気がしないので。この作家についてはもう書くこともないだろう。女性の思い描く男性像。これに対する男性作家で誰が浮かぶかと言えば、渡辺淳一か吉行淳之介あたりになるうか。いずれにせよ、感性の性差というものはある。

   01/18 「推定有罪 あいつは…クロ」
                  磯貝陽悟 データハウス ¥1600 ★★★★★ TOP
松本事件で”加害者”報道のされた河野さん一家を軸として、地下鉄サリン事件や阪神大震災等も交え、人々の心のあり方とメディアのあり方とを問いかけるドキュメンタリー。全てのドキュメンタリーはセンチメンタリズムを排した所から出発すると信ずる自分としては、筆者の被害者側への傾きに多少イラツキを覚えたりもしたが、中で語られるエピソードのひとつひとつが、当事者の心を実感できるようなわかりやすい描写である。これは、以前読んだ中で絶賛した「墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便」(飯塚訓)と並ぶ作品ではないか。同じように、地下鉄サリン事件の被害者の証言を元に構築した作品として知られる「アンターグランド」(村上春樹)があるが、こちらは文庫化を待ってから購入したので、まだ未読である。今回の独語の余韻が消えた頃に取りかかりたいと考えている。新・新宗教やカルトとしての”オウム”の本は結構読んでいるが、犯罪者としての側面を読み解く作品にも、今後挑戦してみたい。そう言えば、麻原彰晃の念のこもた幻の物質・ヒヒイロカネというのを雑誌の懸賞で当てて、まだどこかにしまっているはずである。あり得ないはずのサビが生じてしまっているが(笑)。PTSD(心的外傷後ストレス障害)…、自分も7年前の事故以来、似たような症状が出ているのだが、はり該当しているのだろうか。

   01/17 「鉄甲機ミカヅキ(上)
       飯野文彦 原作・雨宮慶太 角川スニーカー文庫 ¥648 ★★☆☆☆ TOP
テレビ放映を観てから読んでよかった。ノベライズだからこそ、作品世界が具体的に頭に浮かんでくるというもの。特に、特撮を文章だけからイメージするのは至難の業。テレビシリーズ全6話をノベライズするのだから、少なくとも(中)(下)の三巻は必要になるだろう。それだけ楽しめる(かどうか?)。テレビでは窺えない登場人物の細かな描写などは十分楽しめる。個人的に、風雄の母親とか(^^。月光機が街を行くシーンの細かい設定は、東京に住む人ならばニンマリできるものなのだろうな。ガメラが室蘭の地球岬に上陸したシーン(?)のように。それにしても、スイカイドムの出現がどうにも腑に落ちないのだが。ウテルスを用いて実体化したと言うのならば、それほど強烈な”想い”を有しているのは風雄だけだと思うのだが。この疑問も、今後解消されていくのだろうか。全6話中、第1話を途中からテレビ放映で観て、ビデオ録画してなかったのは悔やまれる。そのうち、DVDが発売されるのだろうが。

   01/16 「エドガー@サイプラス」
               アストロ・テラー 文芸春秋 ¥1857 ★★★☆☆ TOP
書評を目にしてから随分と探したのだけれどみつからなかった本の一冊。確か、近くの本屋から取り寄せようとして在庫がなかったんじゃなかったか。結局、インターネットを通じてようやく手にした次第。便利になったものだ。”自我の芽生えたプログラム”っていうテーマは使い古されているけれども、本書は、電子メールのやりとりだけを使ってそれを表現する書簡体をとっているのが目新しいところか。ただ、日本語に訳してしまったところで、オリジナルの英文メールのもつ雰囲気が損なわれてしまったのが惜しい。とは言っても、原文だと理解は難しいだろうが。本書のエドガー・プログラムは、「対話」型というよりも「情報収集」型として描かれている。ニュースグループから購読したり投稿したりする描写は。現代のインタールット技術特有のものだろう。エドガーの言葉遣いも、語彙が増えるに従って変化していき、この辺は「アルジャーノンに花束を」と似通っている。細かいことだが、本書に記載される電子メールの発信日の時間帯が、PST(太平洋標準時)とEST(東部標準時)の書き分けされているのが、手が込んでいて面白かった。

   01/14 「電脳農奴解放ジャーナルvol.2」
             電脳農奴解放戦線 太田出版 ¥1400 ☆☆☆☆ TOP
何で買ったのか、もう忘れてしまった、1999年12月出版の本、というか小冊子に近い体裁でこの価格は、なんか解放された気がしないんだけど…。たぶん、クラッキングを受けた立場の人間の手記が面白おかしく掲載されていたからだとは思うのだが。あと、Linuxのツール群の紹介か。結局自分では導入せぬままに過ぎているが。(一応、領域は確保してはいるのに。)Cコンパイラの話題でgccが出ているのが懐かしい。Cマガジンなんか購入していた頃を思い出す。試食版LSI−C86なんていうのも、たぶん古いハードディスクの片隅に眠っているはず。プログラミングに興味がもてなくなってどれくらいたつやら。BTRONに関する記事も載っているのだが、その副題に「教育用のコンピュータという大きな寄り道」というのがついているのを見て苦笑。そうそう、松下のパソコンでTRON触ったことあったっけ。仮想と実想とかいうやつだったけど、すぐにWindows全盛となって、結局使うことはなかったのだ。板村氏の書いた本も結構読んでいたなあ。

 01/13 「Hack!!ハッカーと呼ばれた青年たち」
       笠原利香 ジャストシステム ¥1500 ★★★☆☆ TOP
ハック・クラックの入門書ではなく、人物像に迫ったノンフィクションである。この種のもので今まで読んだ中では、「ハッカーズ」スティーブン・レビー(工学社)というのが一番面白かったが、1987年出版。13年も前である。今回のが1996年。(今まで読まなかったのだ、何故か。)書かれている内容も、電話のタダ掛けからパソコン通信、インターネットの利用と変遷が見える。いつも感じるのが、ハッカー側の”言い分”としての「反体制」「反権力」であるが、これを鵜呑みにして取り込もうとする左翼的な日本人も数多いことだろう。日本の中央省庁へのクラッキング(中国人によるものとされてはいるが…)に喝采を浴びせる愚かしさは、何とかしてもらいたいものだ。核兵器反対を叫びながらも、「中共の核は良い核」だなどと、未だに信じている人間もいるのだから。…閑話休題…本書が書かれた背景には、純粋なジャーナリズムと好奇心があるようだが、今度はぜひ、より進んだ現在のハッカー像、特にインターネットにおけるそれについてレポートしてもらいたいと希望している。誤植(と思われる?)一ヶ所発見。…補足…今、作者について検索してみたところ、何やら苦情やら悪口やらが書かれているページがあるようだ。細かいことは気にしない。読者にとって作品の評価が全てだ。

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